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「伝統」とは、受け継いだものから
「新しくより優れたもの」を生み出す力である、と私たちは考えます。
先人から継承した技と情熱を守り、時代を切り拓く酒造りを目指します。

HISTORY 歴史

刈穂の仕込蔵は、1850年(嘉永3年)建造の歴史あるものです。秋田県随一の雄物川畔に建つこの蔵は、江戸時代に水運の拠点となっていました。1913年(大正2年)、隣村で酒蔵を営む伊藤恭之助と地元有志13人が資金を出し合い、この歴史ある蔵を譲り受けて神宮寺酒造株式会社を設立。ここに刈穂の歴史が始まります。酒名は飛鳥時代の天智天皇(626年-671年)の和歌「秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ」から命名されました。この歌は百人一首の最初の歌としても知られております。
創業当時から続く伝統ある山廃仕込みで「辛口でキレのある口あたりと、洗練された力強い旨みの調和」を理想とする刈穂らしい味わいを希求し続けています。高品質酒を追及していった結果、現在は醸造される全ての酒が特定名称酒となっています。

ENVIRONMENT 蔵の環境

刈穂蔵は、秋田県有数の穀倉地帯・仙北平野にあります。神宮寺岳など蔵を取り巻く山々は出羽丘陵と呼ばれ、森林に降る豊富な雪と雨が地下に浸透し、無数の水脈となって清らかな天然水をもたらします。蔵の裏手には雄物川が流れ、河岸に開ける肥沃な平野は稲作地帯となっています。流域にはハヤブサ、サギ、カワセミなど野鳥が多く生息し、秋には鮭も遡上する豊かな自然が広がっています。気候は四季がはっきりしていて、初夏〜秋は温暖湿潤。内陸性気候のため特に夏は暑く適度な降雨があり、秋は日中と朝夕の寒暖差が酒米の栽培に適しています。冬は日本海で水蒸気を含んだ大陸からの季節風が雪を降らせ、寒冷多雪の清澄な空気が蔵をつつみ、酒造りに適した環境を調えてくれます。

SAKE RICE 酒米

蔵人を含む地元農家と当社が酒米栽培会を設立し、15町歩(15ha)の酒米栽培田で秋田酒こまち、美山錦等酒造好適米の栽培に取り組んでいます。毎年、同じ地域・農家が酒米を育てることで品質を安定させ、また農家と蔵元が意見を交え、ともに栽培技術を磨くことで、酒造特性に優れた原料米の確保に努めています。

WATER 仕込み水

刈穂の仕込み水は奥羽山脈や出羽丘陵に源を発する天然水が地下に浸透し、雄物川の伏流水となって蔵周辺の砂礫層を通過して一年中豊富に湧き出ます。蔵敷地内の3本の井戸から汲み上げられるこの水は適度なミネラルを含む中硬水で、軟水が多い秋田では稀少な水質です。その水はもろみの醗酵を促し、香味あざやかなキレのある味わいに仕上げます。

YAMAHAI TRADITIONAL METHOD 伝統の山廃仕込み

刈穂の原点は蔵伝統の山廃仕込みです。山廃仕込みは蔵内に存在する乳酸菌などの働きを利用し、酵母が十分に活動できる環境を調えていきます。江戸時代から続く生酛仕込みを改良し、明治時代に確立されたこの手法は、近代の酒造りにおいて多くの銘醸地に広まりました。しかし、酒母の仕込みからもろみの醗酵を経てしぼりに至るまで2ヶ月程かかること、微生物管理や温度管理に手間が掛かるため、その後に発明された速醸仕込みが主流となりました。しかし、刈穂ではこの伝統技法を守り、酒母ともろみを通じて約60日の長期醗酵を行うことで多様な味成分とキメ細やかで深い旨味を醸し出します。日本酒度+20を越える究極の辛口酒も山廃酒母が育てる優良な酵母だからこそ醸すことが出来るのです。また、山廃仕込みの酒は特有の酸とその複雑な味わいが料理との相性が良く、食材の味を引き立てながら心地よい喉越しを感じさせます。

PRESSING 全量酒槽しぼり

刈穂の酒造りを締めくくるのが伝統の酒槽しぼりです。酒槽しぼりはたいへん手間がかかるため、全量の酒を槽でしぼる蔵は全国的にも稀です。もろみに無理な圧力が掛からず、ゆっくりと丁寧にしぼられることで、刈穂の特徴である力強さとキメ細やかさが両立し、調和のとれた酒が生まれます。年代も形式も違う6台の槽が並ぶ槽場の光景は壮観です。

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